相続・遺言・信託
相続・遺言・信託登記
例えばこんなとき、どうすればいいのだろうか?
(1)将来の認知症に備えたい・・「高齢者の安心できる将来設計」とは
・自分で法律行為ができなくなり、契約の締結や預貯金の引き出しができません。
・自分で遺産分割協議を行うことはできません。
・自分で書いた遺言書が無効になるかもしれません。
・認知症になった場合は、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立て、その後は成年後見人が法律行為を行います。
⇒家庭裁判所の選任により法律の専門家が後見人になります。
・任意後見人を選任し、万一自分が認知症になったときの後見人を予め決めておきます。
⇒自分が後見人になってもらいたい人を自分で選任できます。
・遺言をすることにより、予め財産等の死後の分配方法を決めておくことができます。
・成年後見制度や遺言でカバーしきれない部分は、「家族信託」で補うことができます。
(2)相続登記ができていない不動産の増加に伴う「空き家問題」とは
・不動産の名義人がお亡くなりの後、相続登記がされずに長年放置されている不動産があります。その原因として、「解体して更地にすると固定資産税が上がる」、「固定資産税も安いのでわざわざ相続登記をしなくても」といった理由が挙げられます。相続登記をしないと不動産が利用されなくなります。
しかし、長年放置された不動産は、老朽化に伴う倒壊の危険性や景観の悪化、火災の原因など近隣住民に深刻な被害をもたらす可能性があります。
・更に、長期間が経過し、相続が2回以上になると、相続人の把握が困難な程の多人数になるケースがあります。
そうなると相続登記が非常に困難になります。相続登記が未了のままでは、適切な管理処分を行うことができません。
このことは、大きな社会問題として取り上げられ、現在、法務省も新制度の創設などで相続登記の手続きを一部簡素化し、相続登記の促進に取り組んでいます。
適切な時期の相続登記は、自分や次世代のためにも必要な登記なのです。
祖父名義の不動産を相続登記が未了のまま、その子供たちが亡くなると、この家族構成の場合、相続登記をするためには孫A~孫F全員が相続人となり、手続が複雑化するばかりか、不要な相続争いを引き起こしてしまう可能性もあります。
また、相続人の一人が認知症になった場合、成年後見の申立をした後に、他の相続人と成年後見人とで協議をしなければならず、申立から成年後見開始まで一定の審理期間を要し、その間に更に相続人が増加する可能性などを考えると、適切な時期の相続登記が必要です。
(3)年金生活者だが、借金問題で悩んでいる・・「高齢者の多重債務問題」とは
・年金受給者の生活環境は、年々厳しさを増しています。年金支給額の減少、医療費の高騰、そして消費税率の上昇など様々な原因で、年金だけでは収入が足りず、生活費を補うためにやむなく借金をするケースが数多く見られます。最近は金融機関のカードローンなど、消費者ローンが中心となっています。この様に、少額の借金が繰り返された結果、多重債務に陥る高齢者がおられます。
・公的年金の受給権は、破産宣告時の財産処分の対象にはなりませんし、年金は破産宣告後も引き続き支給されます。
・生活費を補うためにカードローンなどを利用して、多重債務に陥るのは高齢者だけではなく、若年層にもその傾向があります。非正規雇用の増加や離婚後の養育費未払いによる収入の減少などによる多重債務者が増加しています。もし多重債務に陥った場合、大切なことは、法律家に相談することです。法律には、債務の問題を解決する方法があります。法律家と一緒に解決方法を探すことが、多重債務問題を解決する最善の方法です。
(4)孤立を解消しましょう
「社会的孤立」は、解消できます。
高齢化社会では、独居問題や経済的困窮だけではなく、財産の将来的不安を抱えて相談出来ない状況も「社会的孤立」です。
複雑に絡み合った問題を整理・解決するには法律家の支援が必要です。
司法書士は皆さまの伴走者です。お気軽にご相談いただき、お互いに顔の見える信頼関係を築き上げて、安心出来る将来設計を考えましょう。
家族信託とは、委託者(財産の所有者)が、自分の所有する一定の財産を、信頼できる受託者(財産を預かった人)に託して、名義を受託者に移し、受託者が財産を利用・運用して受益者(利益を得る人)に運用益等を給付する制度です。
家族信託とは、信託銀行等のプロに預けるのではなく、「家族による家族のための信託」です。